日本代表が決勝トーナメント進出を決めた。
歴史を塗り替えるべく、奮闘を続ける中で攻撃はもちろん、ここからは守備への期待も膨らむ。
パフォーマンスが酷評されてきた川島選手の安定したプレーを期待している方々も多いと思います。 この最終節ポーランドとの試合では、復調の兆しとしてスーパーセーブがピックアップされていますが、ここにもまだまだ改善しなければならないポイントがありました。
ミスを帳消しにするスーパーセーブを披露 グループリーグの最終節先発を入れ替えて臨んだ日本代表。一進一退の攻防が続く中、どちらにも得点の可能性があった前半。 そんな中、相手のビッグチャンスをスーパーセーブで防いだ場面。 カウンターから日本の左サイドに展開され、ダイレクトで上がったクロスを中央(ほぼペナルティマーク)でヘディングで合わせてファーサイドに飛んだボール。これをゴールラインギリギリでかき出しました。 シュートの瞬間からコース、スピードに対して素早い反応からのステップ、そしてダイビングまでの一連流れ。そして今回は片手でいったので、より早く触れたと事もありビッグプレーとなりました。 ですが、今回のテーマにあるようにGKは時として自らのミスをリカバリーするスーパープレーもします。それは今回のプレーに見られました。 シュート対応に関してはすばらしいし、最後までボールを追いかける姿勢はマネしなければならないプレーですが、見落としがちなポイントがあります。 スーパープレーを生んだ"原因"ー ひとことで言えば「ポジショニング」がズレていたので、あのプレーを生みました。 左サイド(ペナルティエリアの角)からダイレクトクロスでした。川島選手のポジショニングはゴール左より(ニアサイド)にいます。

(赤丸)のところに対するポジショニング

(赤丸)へパスが出るとポジショニングはほぼニアポスト前に。
そこからダイレクトでクロスボールが上がってきます。そして、中でヘディングをしたのが、No.11の選手。場所はペナルティマーク付近です。


その後、シュートに反応してセービングにいくわけですが、基本的にシューターに対して正対するのが鉄則です。では、何が原因でシュートの瞬間のポジションと理想とするポジションとに解離が生まれたのでしょうか。 【準備】と【実行】から考えるポジショニングの概念ー クロスが上がる時までは、ゴールを背にして体は斜め左方向に向いています。 そこから、ボールが中央に上がってきた瞬間に川島選手はボールの軌道に合わせてポジション修正する(ステップで位置と体の向きを変える)のではなく、その場で体の向きのみをゴールを背にする角度に変えました。したがってシュートの瞬間のスタート位置は、クロスが上がる瞬間の位置と変わらない場所からとなりました。

(黄色)の三角形が理想です


そこからヘディングシュートをかき出す場所は結果的にゴールラインギリギリとなりました。
様々な想定を加えて「ポジショニング」を振り返るー 今回のシーンでは、このポジションより2歩分内側にポジションを取るべきです。 なぜなら、相手右サイドの選手が左側に切り込む可能性もあります。その瞬間にはファーサイドのコースが一気に開けます。そうなってからポジションを下げたり、真ん中に修正すると、動作が多過ぎます。 またその体重移動を見られてると、ファーと見せ掛けてニアサイドに打たれる可能性もあります。 もちろんこれがスカウンティングによりアーリー気味のダイレクトクロスが最優先であった可能性もあります。 ですが、やはりヘディングシュートも最も手の出しやすい高さであって、これが腰より低いものやバーに近いものだと恐らくゴールラインを割っていた可能性があります。



今回は、スーパーセーブの中に潜む危険因子として、「ポジショニング」の重要性を取り上げました。 どんなに技術や身体能力があってもポジショニングがめちゃくちゃなら相手にとってはゴールする事が簡単になってしまいます。 逆に言えば、育成年代においては、技術や身体能力が未発達ならば、まず「ポジショニング」の精度を上げることで相手に心理的プレッシャーを描けることが出来ます。 どれだけポジショニングについて、考えてプレーしトレーニング出来るかは非常に大事です。
【参考】① https://youtu.be/FSZ1L1BlWA4 【2分でわかるロシアW杯】日本が2大会ぶり決勝トーナメント進出 日本×ポーランド 0:30~0:40 【参考】② https://youtu.be/K7pVlD8Q660 Japan v Poland - 2018FIFA World Cup Russia - Match 47 0:28~0:50