
【参考】 Japan v Senegal -2018 FIFA World Cup Russia -Match32
ミスの原因は実は別のところにある
GKのプレーは安全、確実に行う。
要は基本的な技術の発揮である。
そして【準備】というのが非常に大事である。自分が見て感じた情報の整理を正常な精神状態で思考しなければならない。そして、それを瞬発的に行い安定した技術と共に繰り出さなければならないのだ。 今回の失点に関して、川島選手のプレー(ミス)はいくつかのポイントに分けて考えると、本質的なところな、共通的なところの問題である事を分かってもらいたい。 ひとつは、川島選手の「パンチング」という判断と技術の部分について。 プレーする上では【準備】と【実行】という項目に置き換えて分析しなければならない。 これは川島選手が「情報」として何を見て、ボールや周りの選手らの位置を踏まえ、どのような「予測」を立てたか、がポイントとなる。 あの場面でパンチングに該当するのは、(無回転を含めて)強く速い顔の高さ程のボールで、そのまま来た方向に打ち返すか、もしくはパンチングとはいえバーを越すようにフィスティングに近い対応が望ましい。 だが、実際に放たれたボールは膝高さのファーサイド寄りにカーブの掛かったボールで、これを体制を崩して上半身のみをボールの軌道に入れなくてはならないのだが、やはりアンダーハンドでの捕球ができるボールに対して、拳を正面に向けるには間に合わずに十分に弾けず、マネ選手のいる場所に弾き、ぶつけてしまった。 パンチングにも様々な方法があるが、今回のシュートに対してパンチングをするには拳をボールの正面に向けなければならない。正面から来たボールをそのまま強く弾き返す。余裕があれば軌道を変えて高いボールを、最低でもペナルティエリア外に弾かなければならなかったのだ。

負の連鎖が生んだマインドセットの崩壊 今大会以前から川島選手のプレーは不安定だ。 だか、それはブレイクアウェイやディストリビューションの場面でのミスだったが、前節コロンビアの失点同様に直接的に失点に関与してしまっている。(これまでも"ほぼ失点"ではあったが) 川島選手の中で、全く思考的な部分に影響がないはずがないと仮説を立てると、今回の失点のもう一つの要素が出てくる。 これまで築き上げて来たマインドセットの崩壊とも言える。それは、予測に「過度なネガティブ要素」が増し、確定的ではない未来に安定的なプレーを予測的に選択してしまうことだ。そうして実際には"強烈なシュート"ではなく、普通のボールに対して対応出来なかった。正しくは、どのボールが来てもパンチングしか出来なかったと考えられる。 例えば1度ハイボールの処理を誤るとそれ以降「出るとミスする」というネガティブな思考が働き、すべてのボールが難儀と捉えてしまうのも同じだ。 またFWが一対一の決定的な場面で、誰もが予想しない平凡なシュートをGKにキャッチされた時に皆がなぜ?と首を傾げるのと似ている。 当事者にしか見えない"未来"が見えてしまったのだ。 それもこれが、新たなマインドセットとなるとやっかいである。早く通常のマインドセットに戻さなければならない。


自己解決力が主体的な姿勢を生む トップレベルにでもなれば、これまでの経験や周りのサポートなども含めて、短期間でないにしても、通常通りのプレーに戻せるが、育成年代やそうした環境にないプレーヤーがどうやったら"自己解決"出来るのか、そこに触れたいと思う。 ポイントとなるのは継続してプレーし続ける事なのだが、そこには分析の要素が伴わなければならない。 プレーの振り返り、自己分析の項目について、下記する
「状況把握」: 見る聞くことで、どんな情報を自分の中に持ったか 「状況判断」と「予測」: 今、どんな状況で、何が起こり得るか 「実行」と「予測」: どんなプレーを選択すべきか、そしてその後に何が起きるか、起こしたいか 「決断」: 確実な精度で実行できるプレーを選択する ーー 常に「プレーする」とはこれらのセクションを経て実行されていると考えた上で「どのセクションに問題や課題があったか」が分析出来ると、継続すべき工夫や判断やプレーというのが把握できるようになる。 選手が主体的にトレーニングを行う事にも繋がるのだ。 ちなみに試合中はこれらのセクションをいちいち考えるのではなく、連続的なプレーの刹那で感覚的に実行できるレベルまで落とし込まれていなければならず、日々トレーニング等で積み重ねていく事がいかに重要か分かるだろう。 今回のような短期決戦では良くも悪くも1度出来た流れが、選手のパフォーマンスに影響することは多々ある。 そうした事を踏まえて、日頃から取り組む事が大事である。