この大会初戦を迎えた日本代表は見事にコロンビアの猛攻をしのぎ勝ち点3を得た。今大会をトピックとなっているFKでの失点を喫してしまいましたが、これは川島選手のミス、と一言で片付けるのではなく、あと数十センチ「何が足らなかったのか」を考察したい。。

日本の失点はGKの個人戦術とチーム戦術から考えるべきだー 川島選手も口にしていたように、「予測になかった」のは明らかだ。動き出しが遅く、判断としても両手でセービングにいった分ボールへのアプローチが若干遅れていた。片手でアプローチすればもしかしたら間に合ったかもしれない。これは判断と技術におけるポイントだ。

また今回のFKでは「経験」「予測」という部分でもGKにおける個人戦術にも着目したい。角度・距離・キッカーの利き足(助走)という条件を踏まえて予測と駆け引きを行う。それはポジショニングに反映され、予測をしながらその時を待ち、実際にシュート(もしくはクロスボール)に対応しなければならない。
トップレベルならスカウティングデータも併せて活用するだろう。 本来FKにおいてGKが意識すべきは、上記の情報に基づき直接ニア(壁側)かファーへのシュート。その逆をつく形でクロスボールに対応する。今回の壁下へのシュートはかなり優先順位が低い。

あとこれは、予測だが川島選手自身"壁下のFK"の経験が少ない可能性もある。ガーナ戦でも失点を喫した事を考えるとゴール付近からのFKを受ける経験がそもそも少ないかもしれない。 例えば、所属クラブの平均的なFKの場面や失点パターンなどの傾向は調べれば情報は出てくるだろう。

チーム戦術として共通認識を強めるべきで、例えば「何メートル前では壁は飛ばない」や「その場で声を掛け合い(飛ぶか)決める」また壁の中に相手が入りGKの目線を塞ぐ時には「壁は飛ぶが1人だけ壁の後ろに壁下を塞ぐ選手を置く」という事も出来る。
経験とはいったい何なのかー
最近の特にGKに関する見方をして「経験=年齢」という概念を取り払う事を強調したい。日本にある「経験=年齢」はあくまでそれに費やした"時間"であると思われるが、経験とは「出来るようになる」事が大事だ。それは可能性はあるが"時間"では解決できない。
特にGKの時間軸は、経験とは年齢だけでは収まらない。いかに様々なタイプの相手や戦術、戦況、そしてシチュエーションに応じたプレーを発揮するかが、ポイントとなる。 (敗けてても)強豪国の特徴に戦況に応じて攻め方・守り方を柔軟に変える事が出来るということが挙げられる。ブロックを引くことも、ハイプレスを掛けることもだ。 その中でGKに求められるのは、深く守っていてもゴールラインを割らさない「反応型」と空いたスペースをカバーしたり、ペナルティエリア内外を積極的に動きハイボールやスルーパスにも反応していく「予測型」のそれぞれの能力の高さと使い分ける対応力が求められる。 ちなみに日本代表においては、(私の主観も含めて)川島選手、中村選手は「反応型」。東口選手は「反応型」と「予測型」の中間の傾向が強いと見ている。所属クラブでのプレーシーンで想像がつくだろう。東口選手の場合は長谷川監督時代のガンバで積極的なプレーが記憶に残っている。 大会の楽しみ方に様々な「感情」が渦巻くー
こうした事を踏まえて大会を観るのも良いだろう。 それは4年に1度の大会だからこそ、ワンプレーの重みや重要性が増すのだ。それは観ている人達の感情を揺さぶり、感動を呼ぶ。 そんな想いを巡らせながら、今後の試合を観るのはいかがたろうか。
【参考】
4:40~5:05