GKにおける戦術戦略とは!
- tomoya ikeda
- 2018年1月19日
- 読了時間: 5分
優れたサッカー選手のバロメーターに得点能力、テクニック、足の速さや体の強さなどがありますが、選手として優れているかなかなか図るのが難しい一方でベースとなり選手の持つ能力を最大限発揮させるサポートとなるのが、「戦術」「戦略」だと考えます。
「戦術」と「戦略」をしっかりと分けて考える- まずはこの戦術と戦略の使い分け、意味を理解している事が前提になりますので、それぞれの意味について、下記しました。 「戦術」 作戦・戦闘において任務達成のために部隊・物資を効果的に配置・移動して戦闘力を運用する術である。 (そこから派生して言葉としては競技や経済・経営、討論・交渉などの競争における戦い方をも意味するようになる。理論的・学問的な側面を強調する場合は戦術学とも言う。) 「戦略」 一般的には特定の目標を達成するために、長期的視野と複合思考で力や資源を総合的に運用する技術・科学である。 これをサッカーに置き換えた場合に「戦術」とは選手の配置や味方、相手から得られる情報。またはその他の状況。 「戦略」はそれらの情報、状況を踏まえた上で繰り出す技術や指示、ポジショニングなどの手段。 と考えています。 最近はそこに「分析」という新たな「情報ツール」がチーム、個人の強化の一端を担っています。 では、どんなGKが「戦術・戦略」的に優れているのか、について話をしたいと思います。
もちろん、基本的にはサッカーの原理原則の部分なのでGKに限らずFPの選手にとっても有意義であると思います。 まずはGKにおける「戦術」とは!?について話をしたいと思います。
大事なポイントは、いかに試合前、試合中の情報を収集し、それを理解して「戦略」に生かす考え方を持っているか、という事になります。 情報収集・状況判断・戦術的思考が大事となります。
優れたGKは試合を客観的にみている- そして「戦略」は状況を判断して実行する為の手段(アクション)です。それはシュートセーブなのか、指示なのか、ポジション修正などあり、状況に応じて選択します。
ここでひとつの例を紹介します。昨年の天皇杯準決勝、ヴィッセル神戸vsセレッソ大阪の試合、後半アディショナルタイムに1点ずつ取り合う展開となり、延長戦の末セレッソ大阪が勝ちました。
この日のキム選手はGKとしての本質「シュートストップ」をほぼパーフェクトにこなしていた一方でブレイクアウェイの判断と技術には不安定感が見られました。(パントキックなどのディストリビューション含)
そんな中での後半アディショナルタイムでの先制点と直後のプレーでの失点。
なぜペナルティーエリア内で、ましてやバックパスでもないのにルーズボールを足で処理しようとしたのか…
この試合を通してシュートへの反応に関しては全く問題がなかったですが、瞬間的なボールの絡む判断に関しては、失点のリスクがあったかと思います。またそれを本人も自覚していたのではないでしょうか、パワープレーとなったロングボールを相手が先に触り味方との間に落ちたボールへの反応が一瞬遅れて少し重心が後ろ気味にもなっていますので、自然と足を浮かす事で処理する判断したと思います。
ですが、焦りもあったでしょうかしっかりとミートできず最後はそれを押し込まれてしまいました。
この例を参考にすると、GKの戦術として「情報」を持つ事の重要性とそこから予測する思考回路は能力としても経験値としても大きいです。
もちろんこれを感覚的にこなせる選手もいますが、いかに養えるかは考えないといけないです。
すべてにおいて共通ですが、「未来に何が起きるか知っている」という事は非常に重要です。
それには「状況判断と経験、記憶を絡めた予測」がカギになります。この場合、ラストプレーに掛けるセレッソがパワープレーでヘディングの強い山村選手をターゲットに蹴ってくる予測とそれに対してのマーキングもしくはDFラインの設定、オフサイドを取るもしくはセカンドボールがオフサイドになるそうでない場合はGKがカバーするといった戦略(方法)の選択。
また、仮に競り合いに勝てなかった場合にはボールが逸れてPA内に侵入してくることが予測でき、その反応が一番早くアクションが出来たら、中途半端に動いてゴールを空けた分、焦って処理する事にはならなかったでしょう。
すべては準備である-
サッカー選手が試合中にボールに触れる機会(時間)非常に少ないです。そのほとんどが何に費やしているかというと、大きく言えば「ボールが来た時の準備」です。
ボールを持った選手が出来る事はシチュエーションや相手味方選手、スペースなどが絡むので出来る事も限られてきます。
その可能性を最大限広げる事こそ”準備”の賜物になります。GKの場合はそれが一瞬の判断に躊躇
、迷いを生み判断スピードと精度を邪魔してきます。
そう考えると緊張する事も悪影響がある事が分かります。人は緊張すると呼吸が浅くなり、脳への酸素供給量が減り、集中力の欠如、身体の状態を悪化させる要素に関わっています。視野や目線も大事であらゆる情報を見たり、聞いたり感じたりするには、五感のコンディションも良くないといけないです。
これらベストコンディションの中でいかに優れた判断とアクションが出来るか、がその選手のモチベーションになり、ステージが上がればその能力値も上がらないといけないです。
<参 考>
【ハイライト】ヴィッセル神戸×セレッソ大阪 「第97回 天皇杯 準決勝」 神戸GKキムスンギュの判断
<お知らせ>
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